2020年以降、事務所に所属していた芸能人が独立することが増えています。
もちろん事務所を解雇されたわけではなく、自ら独立する人が多いのです。
著名な芸能人も独立することが多くなっているのですが、なぜ最近は芸能人の独立が顕著となっているのでしょうか?
芸能人の独立が顕著になった理由について、解説します。
止まらない芸能事務所の退所
芸能人のほとんどは、芸能事務所に所属しています。
しかし、新型コロナウイルスが流行し始めた2020年以降、所属事務所を退所する芸能人が増えています。
退所した人は、個人事務所を立ち上げたりフリーランスとなったり、またはエージェント契約を結んだりしているのですが、通常は事務所に所属していた方が何かとメリットが多いように思えます。
なぜ退所するのか
退所する原因としては、まずこれまで芸能界の最前線に立ち、名前を轟かせてきた敏腕芸能人や大物芸能人が老体化してきたということが挙げられます。
健康面等で不安を感じて引退した先輩を慕っていた人、お世話になった人が事務所にいる意味を見失い、独立してしまうのです。
また、事務所によっては社長が交代しているところもあります。
新社長が前社長とは異なる方針を掲げた際、前社長を慕っていた芸能人が方針に従えず独立するというケースもあるのです。
例えば、オスカープロモーションでは米倉涼子さん、剛力彩芽さん、忽那汐里さん、岡田結実さんなど、事務所を代表する女性タレント、女優が相次いで独立しました。
原因としては、社長交代があったと言われています。
創設者だった社長が会長となって退陣したことで、体制が急激に変化してスタッフが大量に退社する事態を招いたことで、慣れ親しんだスタッフがいなくなって体制に納得できなくなったタレントも独立したのです。
また、主力タレントが同じように大量退社したジャニーズは、ジャニーズという名前の会社がなくなり新たにSTARTO ENTERTAINMENTという事務所がスタートしました。
性被害の問題が大きくなったことで屋台骨が揺らいでいたため、新会社としてスタートすることで立て直すことができるかが注目されます。
お笑い芸人を中心とした事務所である吉本興業でも、退所する芸能人が多くなっています。
闇営業などの問題で退所を余儀なくされた人もいますが、オリエンタルラジオの様に望んで独立した人もいます。
退所後は芸能活動ができるのか
芸能人が退所した場合、気になるのが今後の芸能活動です。
退所はしても引退はしていない人が多いので、芸能活動自体は続けていけるのですが、事務所のバックアップなしで仕事を取ることはできるのでしょうか?
昔であれば、仕事を取るには事務所の力が大きかったため、事務所に所属していない芸能人はごくわずかで、仕事もあまり取ることができませんでした。
しかし、今はインターネットと携帯電話があるため、どこでも事務所にすることができます。
また、今は芸能人がYouTubeチャンネルを開設していることが多く、自分の宣伝も簡単にできるようになっています。
とある芸能人は、退所後のYouTubeの収益がテレビの出演料より多くなったと語っていました。
芸能事務所の主な仕事は、所属するタレントのプロデュースと営業です。
所属するタレントが売れるように、トークや演技のテクニックを指導したり、キャラ付けをしたりするのがプロデュースに当たります。
営業は、商品であるタレントをテレビや雑誌などに売り込むことをいいます。
ドラマの主役に抜擢される新人なども、事務所がドラマのイメージに合うタレントを売り込んで制作サイドに気に入られたことで、決定するケースが多いのです。
テレビ出演は他の番組への出演の呼び水となり、さらにCMに抜擢されたり映画出演が決まったりすると、出演契約に伴う収入もかなり大きなものとなります。
得た利益を、事務所とタレントで分配するのです。
しかし、既に売れてしまったタレントにはプロデュースも営業も必要無く、制作サイドから名指しで出演依頼が来るようになるため、事務所はただ利益を受け取って次のタレント育成の資金にするだけとなります。
現在の仕事の取り方
売れているタレントなら、わざわざ事務所が営業で売り込む必要がありません。
仕事の依頼がある方はDMまで、と一言書いておけば、仕事の依頼が来るのです。
仕事の依頼が放っておいても来るなら、DMは個人のものでも問題ないでしょう。
ある程度名前が売れたら、自分でプロデュースや営業を行って売り込み、仕事の連絡はDMに貰って自分で交渉した方が、ギャラをすべて自分のものにできるためメリットが大きいのです。
どうしても交渉が苦手という人や営業に回る時間がない人は、エージェント契約を結んで代わりにやってもらうことも出来ます。
もちろん料金はかかりますが、事務所と分け合うよりは安く済むでしょう。
YouTubeは安定する?
人々の興味がテレビからネットに移った昨今では、主戦場をYouTubeにしている人も少なくありません。
素人からプロまで、同じ土俵で戦うことができるのがYouTubeです。
特に、問題を起こしてテレビに出ることができなくなった芸能人なども活躍できるのが、YouTubeのメリットです。
しかし、素人の方が面白いと酷評されることも多いというのも事実です。
テレビに出たことのないYouTuberは素人だから、プロの芸人だった自分の方が人気になるだろうと甘い考えで参入した人は、惨憺たる状況になっていることも珍しくありません。
YouTubeにはテレビと違った戦略があるため、生き残るのは本当に実力がある人、きちんと舞台に合わせた戦略を持って参加している人です。
単純に比較した場合、代表的なYouTuberであるHIKAKINさんは登録者数が1000万人を突破していますが、芸能人ではトップがオリエンタルラジオの中田さんで500万人超です。
独立することで大きなメリットがある人もいる一方で、事務所に所属していた時の方が良かったという人もいるのです。
しかし、どうしても独立しなくてはならない事情がある人もいるため、一概に独立が失敗とは言えないでしょう。
まとめ
芸能人が相次いで退所する背景には、自身の人気に自信が付いたという理由だけではなく、事務所の方針への反発などもあります。
現在、たとえ事務所を退所したとしても既に名前が売れていれば問題なく仕事を受けることができ、収入も事務所と分配することが無くなるため、メリットにばかり目を向けてしまいがちです。
しかし、実際には退所して失敗したという人もいるため、独立を考えている場合は慎重に判断するべきでしょう。