なぜAI広告に批判が出るのか?

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近年、AIを利用して作成した広告が登場して注目を集めていますが、中には批判が出ている広告もあります。

リアルになったAI広告でも、受け付けないという人は一定数いるのです。

なぜ、AI広告に対して批判が出ているのでしょうか?

近年進化しつつあるAI広告に対して、批判が出る原因について解説します。

AI広告への取り組み

大手テクノロジー企業が現在取り組んでいるのは、AIのイメージを現状から変えるという難題です。

AI市場は、10年後には1兆円を超える市場に成長するといわれているため、現在は大規模なイベントを利用してAIのアピールをしています。

特に注目されたのが2024年のパリ五輪で、AIを利用した広告も作成され好評を博しています。

Googleでは、「Dear Sydney」は同社のAIチャットボット「Gemini」が文章を書く際の出発点になることを示すために、制作されたといっています。

しかし、Googleをはじめ、多くの企業はAIを消費者が手軽に使えるツールとして描くことで、消費者にAIを受け入れてもらおうとしているのです。

五輪期間に放送されたAI関連のCMは、AIを「使いやすいアシスタント」であると同時に、「力を与えてくれる友人」として描いていました。

スピード感のある刺激的なCMもあれば、身近な要素をちりばめた親しみやすい広告もあり、憧れのスターまで登場していたのです。

AIが悪いものではない、というのが、各社の広告で伝えられているメッセージだといえるでしょう。

今までにない商品の魅力をアピールするための広告なので、中途半端なアピールでは十分な効果を得ることはできません。

広告というのは、大衆の行動に影響を与えるためのもので、商品を買ってもらうだけではなく、認知度を高めることもできるのです。

広告の中でAIに初めて触れた人々は、驚きの声をあげて感動していて、AIのイメージを便利なもの、生活を豊かにするものと伝えています。

当然、優先的にアピールするのは自社のAIですが、GoogleとMetaのAIチャットボットは日常の製品に組み込まれているため、他社よりも有利です。

GoogleのAIはGoogle検索に表示される概要に使用され、MetaのAIはFacebookやInstagramに搭載されています。

批判されたAIによる広告とは?

AI広告が批判された例として、マクドナルドがX限定で配信した広告があるのですが、なぜマクドナルドのAI広告は批判されたのでしょうか?

批判的な意見は大別すると4つに分けることができ、まずは表現のクオリティに対する批判がありました。

クオリティに対する批判は、実写と比べてリアリティがないものの、アニメと比べると人間に近いため、より不快に感じるというものです。

2つ目は、不気味の谷現象といわれる、人間に近い人工物に対して抱く嫌悪感による批判があります。

ロボットが人間に近づくと親しみを覚えるものの、近づきすぎると不気味に感じてしまう、という現象があるのです。

AIが生み出したものも、人工的なものとしてロボットと同じように考えられるため、近づくと不安になってしまうことがあります。

3つ目は、AIが具体的に命じられず、自己判断で表現活動を行うということに違和感があり、抵抗を覚えるという点です。

かつてのAIは、細かいキーワードを入れなければ望み通りの絵を生み出すことができなかったのですが、今はテーマだけで必要な絵を生み出すことができます。

4つ目は、AIが発達することで人間の仕事を奪われてしまうという懸念があり、反発するというものです。

AIが発達することで、人間が行うデスクワークなどがなくなるという不安から、AIの発達を歓迎できないという意見があります。

マクドナルドのAI広告は、X限定だったことからテストマーケティングだったのではないかといわれています。

ある程度批判を受けることも織り込み済みで配信したと思われますが、実際にここまで反発されることは予想されていなかったのではないでしょうか?

2011年には、CGで生み出したタレントがテレビCMに出演し、さらに人気アイドルグループに加入するというAI広告もありました。

当時はAIだとわかると賛否両論の意見が出され、炎上スレスレの成功事例といわれていましたが、今同じことを行うと炎上する可能性が高いでしょう。

批判されるAI広告の特徴

前述したように、AIが表現活動を行う事に対して違和感がある人は多く、クリエイターなどの仕事を奪われると考える人もいます。

ハリウッドでも、俳優や脚本家がAIに仕事を奪われると考えて、ストライキを起こしたことがあるのです。

ストライキを理由に、映画レビューサイトでAI広告を使用した際、映画業界の仕事を奪うAIを活用したことで映画ファンの反発が起こりました。

GoogleのAIであるGeminiのCMは、五輪選手にファンレターを書こうとする娘を父親が手伝うさい、Geminiにファンレターの執筆を依頼しているものでした。

しかし、手紙の執筆をAIに頼むというのは人の気持ちを考えない行為なので、不適切だという批判が起こっています。

AIではないものの、iPad Proの動画広告で、巨大プレス機によってカメラや楽器、芸術作品などが押しつぶされるシーンがあり、大きく批判されているのです。

人間性が感じられない表現で、人間的なものを否定しているように見える広告は、批判されるのも当然といえるでしょう。

AIを活用した広告で成功するものは、面白みがあったり、親しみが持てたりするものなので、シュールなものは失敗しやすくなります。

また、不自然さがあると違和感を覚えやすく、反発も起こりやすいため、なるべく自然な内容のものであれば批判されにくいのです。

AI広告は、今後さらに発達していく分野なので、批判を受けている場合は批判を受け止め、次回の作品に生かすようにしましょう。

まとめ

AIによる広告は近年増えつつあるものですが、中には大きな批判を受けてしまった広告もあります。

マクドナルドの広告も批判されていて、AIによって生み出された人物が不自然で気持ち悪い、違和感があるという批判が出ています。

また、AIによって人間の仕事が失われる、人間に近づきすぎると不気味に感じるなどの意見もあるため、今後はAIに対する認識も改めていく必要があるでしょう。