近年、日本企業は大企業に限らず、中小企業でも海外展開をすることが増えています。
しかし、海外展開では国内と異なるリスクが生じることもあるため、リスクマネジメントが重要となります。
特に必要とされるのが、リスクマネジメントのPDCAサイクルです。
リスクマネジメントのPDCAサイクルとは何か、解説します。
リスクマネジメントのポイント
近年は、中小企業の中でも海外に進出する日本企業が増えているのですが、気をつけたいのが海外展開によって生じる様々なリスクです。
起こりうるリスクを想定し、リスクが発生したことで生じる損失を回避して、万が一発生した場合の被害を最小限に抑えるための方法が、リスクマネジメントです。
急速にグローバル化してテクノロジーが発展したことで、企業を取り巻くリスクが複雑になり多様化する中、リスクを抑える方法として重要視されています。
しかし、リスクマネジメントをどのようにすればいいのかわからないという人や、もっといい方法を知りたいという人も多いでしょう。
どのように行えば効果的なのか、基礎的な知識を知りたいという人に役立つよう、解説します。
リスクマネジメントのポイント
まずは自社がどのような事をリスクとしているのかを洗い出し、リスクをどう管理すればいいのかを決めておくことが、リスクマネジメントの第一歩です。
リスクマネジメントを効果的に進めていくためには、4つのポイントがあるため、ポイントごとに詳しい内容を解説します。
リスクの洗い出し
まずは、自社が抱えているリスクについてはっきりと知るため、リスクの洗い出しを行う必要があるのです。
過去の事例を調べ、モニタリングやアンケート、相談窓口のホットライン、監査などを活用して、どんなリスクがあるかを確認します。
確認できたリスクは、起こらないだろうではなく起こる可能性があるから備えておく、と考える必要があるのです。
たとえ小さなリスクでも、起こる可能性を除外せずにリストアップして、対策をしておきましょう。
目的の明確化
リスクを洗い出したら、目的を明確にしてリスクマネジメントを何のために行うのか、具体的にどう行動するかを決定する必要があるのです。
リスクマネジメントは、自然災害への備えや事業継続のため、あるいはコンプライアンスを遵守するためなど、様々な目的のために行います。
何のために実施するのか、目的をハッキリとさせておくことで取り組む際の意識も変わってくるでしょう。
リスクの分析
洗い出したリスクは、与える影響の大きさと発生する頻度からリスクマップを作成し、分析していきましょう。
リスクマップを作成することで、リスクの重要性を可視化することができ、リスク同士の比較ができるようになるのです。
リスクにはそれぞれ優先順位をつけて取り組んでいくことで、重要度が高いものには早期対応ができるようになります。
管理方法の明確化
対象となるリスクがわかったら、目的を達成するためにどう管理するべきかを具体的に定めておきます。
リスク対策には、現場の各部門が実行主体として取り組むことになりますが、さらに専門部署や委員会を設置すると、より効果的です。
専門部署や委員会があると、管理が形だけのものになっていないか、実効性があるかを第三者の視点から判断できるようになります。
リスクマネジメントのPDCAサイクル
リスクを洗い出し、どのように対応していくのかが決まったら、どのように行っていくのかの枠組みを決めていきます。
実効性を高めるためには、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルに基づいて進めていくべきでしょう。
具体的に、どのようにして進めていくことになるのか、リスクマネジメントのPDCAサイクルについて解説します。
Plan:対策の策定
リスクを洗い出し、分析をしたら優先順位を定め、優先順位が高いリスクから具体的な対策案を検討し、決定していきます。
リスク対策の方法には、リスクが原因となって起こる損失の頻度や大きさを抑えるリスクコントロールと、損失額を補うリスクファイナンシングがあるのです。
また、リスクコントロールはリスクがある活動自体をやめてしまう回避や、損失が発生する前に防ぐ予防、発生したリスクの影響を最小限にする低減などに分けられます。
リスクファイナンシングの場合も、保険や契約で損失の補填を第三者に助けてもらう移転や、発生した損失を積み立てた資金などで負担する保有という方法があります。
リスクマネジメントを効果的に行うためにはどの方法が良いのか、具体的な内容を検討し、予め決定しておくべきでしょう。
Do:対策の実施
リスク対策について基本的な対策方法を検討して決定したら、次は対策を実際に行っていくことになります。
リスク対策は単に大枠を決めるだけでは不十分で、内容を細かく分けておき、現場で判断して行動できるようプランを定める必要があるのです。
対策を実施したということに満足して、次の段階へとすぐ移行しないようにすることも、大切なポイントです。
対策を実施することが目的ではなく、実施したことへの反響や効果を測定することが、リスクマネジメントの主な目的になっています。
実施した後次の段階に進むのは、リスク対策の効果を測定することが目的だということを忘れないようにするべきでしょう。
Check:対策のモニタリング
リスク対策を実施して、リスクをどの程度抑制することができたのか、運用するときにトラブルはなかったのかなど、結果や改善点などを洗い出して評価します。
結果から、より質が高い対策を作り上げることができるため、目的としていた内容と実際の効果を比較して、改善点を見つけ出していくことは重要なプロセスです。
Action:対策の修正・改善
Checkを行った際に改善点が明らかになっていれば、修正を行ってより良いものにしていきましょう。
改善点をガイドラインとしてまとめておくことで再現性が高まり、高い質の対策を持続的に実施することに繋がっていくのです。
まとめ
海外展開をするにあたってどのようなリスクが潜んでいるかを把握し、リスクを生じさせない、あるいは抑えるために管理するのが、リスクマネジメントです。
海外に進出することでリスクは複雑になり、多様化してしまうため、企業経営にはリスクマネジメントが欠かせません。
しっかりと効果を発揮するように、PDCAサイクルでマネジメントのプロセスを定着させていきましょう。
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