運送業務を行うにおいて、労働災害を減少させための取り組みに「リスクアセスメント」という手法があります。
リスクアセスメントは、業務上での危険の芽を摘み取るために必要な安全措置で、危険の芽がいずれ災害に結びつくことを前もって摘み取っていきます。
どのような危険が職場に潜んでいるかを明確にし、作業ごとの危険の程度を評価していきます。その危険を防ぐためには、何に取り組むべきかが明確になりますので安全度の高い職場づくりを実現することができるでしょう。
危険の芽を摘み取るために
作業を開始する前に危険な芽を摘み取っておくことが大切です。
そのためにはまずヒヤッとしたことやハッとした従業員などの体験談などを集めるといった、ヒヤリ・ハット活動を行って危険回避の方法を検討します。
危険箇所や危険作業を特定し、危険の程度を見積もります。その危険度の高いものからリスクを低減する対策を講じていき、実施していきましょう。
リスクアセスメントの事例
では実際に運送業を営む職場で、どのようなリスクアセスメントが実施されているのでしょう。
例えばドライブレコーダーを導入し、ドライバーに危険運転を抑止するような意識付けを行うなどしている事業所もあります。
ドライブレコーダーを活用することで運転手に急加速や急発進などの悪癖がないかの確認が可能となり、ヒヤリ・ハット活動としても活用できます。
また、安全指導長制度を導入したり、新入従業員に対しては6か月の育成教育期間を設けたりもしている事業所もあります。
時間の制限があることで遅れないように早くという心理が働きやすいですが、慌てないことをドライバーに意識付けることも必要です。
損害賠償請求の可能性への周知を
数千万円の生産資材を従業員が何日間か占有することになるため、その生産資材を生かすことも殺すことも自由だという状況でもあります。従業員を信用していないわけではないけれど、このような状況も大きなリスクの1つです。
そしてドライバーの重大な過失事故でトラックが破損してしまえば、占有していたドライバーに責任はついて回ります。ドライバーの責務が果たされなければ債務不履行として損害賠償請求ということになるでしょう。
ドライバーの責任がどこまでなのかという線引きには難しい部分もありますが、それでも業務上のミスや事故が多額の損害賠償となってふりかかる可能性について周知しておく必要があるでしょう。
リスクアセスメントを成功させるために
労働災害防止で重要なことは、経営者が安全に対する強い思いを表明することが大切ですが、そのためのツールがリスクアセスメントです。
効果的に実施するためには組織全体が取り組むことができる体制づくりと、継続的するためにPDCA(計画・実施・評価・改善)サイクルを基準にしていく必要があります。