第2次大戦後の1947~1949年に生まれた世代を「団塊の世代」と言いますが、この世代の人たちが2012年に65歳を迎えると労働力が減少し、技術力やナレッジ断絶といったことが懸念される「2012年問題」というものがありました。
政府はこの2012年問題への対策として、高年齢者雇用安定法を改正し定年後の再雇用、定年年齢の引き上げといった制度の活用を促し何とか影響を抑えることができました。
しかし具体的に解決したわけではなく、人材育成や次世代に事業承継という問題は何ら変わっていない状況です。
そして新たに直面しているのが「2017年問題」で、事業承継、さらには後継者育成という部分が問題になっています。
理想的な経営者のリタイア年齢は?
経営者が希望する世代交代は65歳くらいで、中規模企業の場合は67歳、小規模事業者だと70歳でリタイアしているというデータもあるようです。
そのため経営者が70歳を過ぎることで経営から退くタイミングを既に過ぎている状態だと言えるでしょう。
団塊の世代は他の年齢層より2倍多いと言われる世代です。そのため団塊の世代が経営者の企業が多く存在していれば、その分事業承継問題も多く発生していると考えられます。
経営余力がある企業が廃業を選択する理由
まだ経営余力があるのに休業や廃業といった選択をすることを隠れ倒産といいますが、経営者の高齢化や後継者難が背景となり、このような選択をせざるを得ない企業も存在しています。
後継者を理由に廃業を選択してしまう理由は、多くの経営者が廃業という選択肢以外の方法があることを知らないからとも言えます。
事業承継は親族に対して行うもの以外にも、親族外承継やM&Aといった選択肢がありますので、存続させる道があることを知っておくことが必要です。
会社を存続させるための方法とは?
日本国内企業の多くが中小企業で、小規模事業者まで含めた場合には約9割を超えるとも考えられます。
経営者の高齢化が進んで事業承継難に陥れば、国内企業の半数近くは消滅してしまうでしょう。
そうなれば雇用の機会は失われ、次第に経済に与えてしまう可能性があります。ここで会社を存続させる解決策としてM&Aを検討してみましょう。
取引先や従業員に対する責任をまっとうするなら
特に中小企業のM&Aは上場企業などで展開されるM&Aとは性質が異なり、資本と経営者が分離していません。
中小企業の株主は経営者であることが多いので、経営者が引退するなら経営権やオーナー権を誰かに移すことになる譲渡が必要になります。
中小企業にとってのM&Aは企業の売買ではなく、事業を継続して取引先や従業員に対しての責任をまっとうできる方法だと考えられるでしょう。
経営を存続するか廃業するかの決断が必要に?
多くの企業で後継者が決まらない状態で経営が続けられており、2017年は企業経営者が団塊世代の場合70歳を迎えることになります。いよいよ事業承継問題に直面し、決断を迫られている状況だと言えるでしょう。