経営の見える化が重要という言葉は耳にタコができるほど言われていることですが、実際に実行できている企業はどれほどあるでしょうか?
特に中小企業であればあるほど、まだまだ見える化への取り組みは進んでいない傾向が多いようです。
そこで今回は、企業において経営の見える化がもたらすメリット、つまり日々の業務が抱える問題を解決しうるのかについて解説させて頂きます。
経営の見える化が進まない本当の理由
経営の見える化はここ数年で経営において非常に注目されているキーワードであるため、この記事をお読みの経営者の方でも聞いたことがある方が多いでしょう。
そんなあなたに質問です。
「経営の見える化を促進する上で、
ボトルネックになりやすい人物は誰が多いでしょうか?」
答えは、経営者であることが多いのです。
特に中小企業であればあるほど、経営者がトップ営業マンである場合が多いため、属人性の高い業務ばかりになっていることが多いのです。
そのような会社で働く従業員は、「社長が何を考えているかわからない」「会社がどこに向かうかわからず不安」というような不満を持っているものです。
会社の中で最も仕事ができるのが社長という状態はある意味当たり前です。
だからこそ、属人性が高ければ高いほど従業員との差は大きくなる傾向にあるのです。
経営の見える化ができていない事によるデメリットとは?
属人性が高くても業績が伸ばしている企業も多くある中、本当に経営の見える化は必要でしょうか。
答えはイエスです。
実は経営の見える化ができていないことによるデメリットは多く存在します。
例えば、先ほども触れた従業員の不満もその一つです。
ご存知のように人口減少は今後も止まることはなく、生産年齢人口は減少し続ける一方です。そんな中、海外との物理的(ビジネスを行う上での)や心理的距離は非常に近づいており、多くの外資系企業が日本にもやってきています。
つまり、採用の難易度は間違いなく今後さらに上がってきます。
そして、人材は業績を伸ばす上では必要不可欠です。
しかし、属人性が高い企業であれば、当然業務を覚えるまでに時間がかかり、それまでの間大きなプレッシャーを抱えながら働くことになります。
さらに、社長の考え方がわからないなどが会社の将来に不安を抱える従業員が続出します。そのような企業に人が集まるでしょうか?そして、高い定着率は実現できるでしょうか?
もちろん難しいでしょう。
人が育たなければ、競合他社との競争に勝つことも難しくなるでしょうから、これは大きなデメリットと言えます。
経営の見える化は何から始めるべきか?
ここまでお読み頂き、「わかってるけどできない」と考える方も多いでしょう。
そこでここでは、経営の見える化を行うプロセスを整理します。
まず、第一に重要なこととして、「会社のビジョンを見せる」ことです。
コンパス無しで海を航海することが不安なように、経営にもコンパスが必要です。会社がどこに向かうのか、という明確なビジョンは旗印になりますから、それに共感が生まれれば、従業員の不安解消だけでなくモチベーションアップという副産物も生まれてくるでしょう。
そして、ビジョンと同時に定めるべきこととして、行動指針やルールがあります。ビジョンとは通常漠然としたものになりやすく、それを発表された従業員は、「ビジョンはわかるけど具体的には何を?」となりやすいものです。
業務における行動指針やルールを同時に決めることで、これらの不安も解消することができるのです。
これができれば、次に行うべきは「課題・問題」の見える化です。
これは内部環境・外部環境どちらにも当てはまります。
例えば、売上が右肩下がりになっている場合、その要因は何なのか?
そもそも売上目標の実現可能性は?目標に向けたKPI設定は?人員は足りているのか?意思決定は早かったか?などボトルネックになっている部分を見付け出しそれを解消します。
このためには、売上だけでなくそれを構成するプロセスにおける目標を定めることや、各役職者に裁量をどこまで持たせるかなどの決めていく必要があるでしょう。
課題・問題の見える化ができれば、具体的な行動が見えてくるため、従業員にとっては比較的ストレスの少ない環境と言えるでしょう。
次に大切なことは、「進捗管理の見える化」です。
せっかく具体的な行動が見えたにもかかわらず、それが途中で頓挫してしまっては非常に勿体無いですよね。
さらに、進捗管理を見える化することで、実際の業務のどこが滞りやすいのかなど更なる課題を発見できるため。業務効率を大幅に改善することが可能になります。
これらを行うためには、数値目標共有の徹底や報連相の方法・ルール決め、会議体系に修正を加えるなどを行う必要があるでしょう。
このようなステップで経営の見える化を行うことで、比較的スムーズに行うことが可能です。
時代の変化に適応できる企業が生き残ると言われていますが、その変化のスピードは非常に上がってきております。知らず知らずのうちに、あなたの企業の方法も過去のやり方になっているかもしれません。
それを防ぐためにも、経営の見える化を行い、常に最新の状態にアップデートするようにしましょう。