役員退職慰労金の準備のために企業保険を上手く活用する方法があります。
生命保険は経営者の死亡保障として確保できる商品ですが、それだけではなく退職金として受け取ることで個人の所得が軽減できます。
保険料は損金算入するため法人税を節税することにもなり、他の用途へ転用することや退職金支給年度の収支の悪化を防止することができます。
経営者の死亡保障を確保
経営者に万一のことがあれば、経営トップが交代することになりますので売上減少などで事業資金が不足する可能性があります。
さらには取引金融機関から借入金の返済や金利変更の要請をされて返済資金が必要になったり、取引先企業から仕入価格など条件変更を求められて運転資金が不足するということも考えられます。
事業承継を滞りなく行うためには、自社株を購入する資金や相続税の納税資金も必要となりますので様々な負担が一気に襲いかかることも考えておく必要があります。
会社を存続していくために、このようなリスクから会社を守る保障が必要と言えるでしょう。
個人の所得税を軽減
退職金は長い間会社や社会に貢献したことへの対価と考えられますので税制は有利になっています。
退職所得は他の所得とは合算しないで良い分離課税となっており、任年数に応じて退職金控除も受けられます。
そして控除後の課税対象となる金額はさらに半分にすることができるといった特典もあります。
一方の役員報酬は1,800万円を超えた時点で所得税40%住民税10%が課税されることになり、損金不算入となって法人税の課税対象になります。
役員報酬として支給するより退職金として受け取るほうが手取り自体を高くすることができるのです。
保険料は損金算入
役員退職金の積み立て分を内部留保する際には損金算入できないことになっていますので、課税対象となりさらに支給する時は高額の損金が発生し業績を圧迫します。
保険は資産形成の機能を持っていながらも損金算入できるため、上手く活用することで保険料の全部もしくは一部を毎年損金で処理し簿外に保険の解約返戻金として積み立てが可能です。
法人税は損金分だけ減少するので節税することができます。
退職の際に生命保険を解約すれば雑収入としてお金が戻ってくるので、退職金を支給することによる業況圧迫も回避できます。
他の用途へ転用しないために
簿内の流動資産で内部留保する場合には課税されることも問題ですし、運転資金が不足した場合などに事業資金に充ててしまう可能性があります。
簿外に準備することによって他の資金用途に使われにくくなり、万が一緊急で資金が必要になった際には契約者貸付を利用して保険から借り入れすることも可能です。
企業保険を上手に活用して退職金の準備を
役員報酬で受け取るよりも退職金として受け取った方が税制面でかなり有利です。
生命保険はそのような場合に有効活用することができますので検討してみてはいかがでしょうか。