社会福祉法人の施設は、リスクが増大する傾向にあるため運営していく上で大きな課題になっています。
施設を守るために賠償責任保険への加入が重要になりますが、実際保険金の支払い件数が増えていることからもニーズがいかに高いかを確認することができます。
老人施設での事故は、転倒や転落によるものが7割以上を占めている状況です。他にも誤嚥事故なども高い割合ですし、人や物と接触したり衝突したりすることでの創傷や、介助中の圧迫などが原因の打撲や骨折、入浴中の火傷などもあります。
老人施設での事故ケース
転倒による骨折などが多く発生しています。例えば転倒して後頭部を打撲して急性硬膜下血腫や骨折などを起こすというケース以外にも、転倒した時に他の利用者と口論となって押し合いにありさらに転倒して骨折するというケースなどもあります。
他にも入れ歯の嘔吐物を洗い流そうとした時、誤って下水道に落としてしまい流してしまったという物損事故や、浴室脱衣所で着衣介助をしている時に胃ろうカテーテルが抜去されて出血してしまうというケースもあります。
事故が多く発生する場所
事故が発生する場所は居室が多い傾向ですが、ベッドから降りた時や居室からトイレに向かう時に転倒や転落する事故が多く発生しています。
他にも廊下、食堂、トイレ、浴室、玄関など至るところで事故は発生します。必要になるのは施設内の設備を安全に保つための改修や、見守り体制の整備です。事前に事故を防止する対策を行うようにしましょう。
デイサービスなどの施設でも老人施設と同様の事故が起きている状況です。転倒や転落が7割以上を占め、誤嚥事故が起きる割合も高い傾向にあります。
賠償責任保険に加入していれば安心?
賠償責任保険は偶然な事故で他人の身体や財産に損害を与えたことにより法律上の賠償責任を負うことになった場合に損害を填補するためのものです。
そのため保険金の支払い可否の判断には、法律上の賠償責任の有無の判断がまず必要です。保険契約の免責条項の中には、保険金お支払えない事故についても規定がありますので、法律上の賠償責任が発生する場合でも事故の全てが保険の対象になるとは限りませんので注意しましょう。
事故防止策を検討するために
まず現状を的確に把握していく必要がありますので、施設内で起きた事故を把握して事故に繋がる可能性のあるヒヤリ・ハット事例を収集していくようにしましょう。
発生頻度が高い転倒や転落、窒息、誤薬などについては、事故発生の要因と予防の視点より事故防止対策を具体的に講じておく必要があるでしょう。
保険での備えも必要ですが、保険は万一の事態に備えるものですので事故事態が発生しないように施設内で取り組むことが重要です。