建設業において必要なのは安全衛生水準を向上させることで、危険・有害性の高い業種であることからも、調査と結果に基づいた対策を的確に実施していくことが重要です。
建設工事を行うにあたっては、元方事業者が統括管理しておこなっていくことになるでしょう。
想定外の施工リスクの発現を防ぐために
建設工事は、適正な品質を確保し安全な建築物を提供することが目的です。発注者、設計者、元請や下請などの施工者、工事監理者などそれぞれが役割を果たして建築物等を完成させることが求められます。
しかし工事の性質上、事業期間は長期に渡ることから、状況や近隣対応といった工事が開始された時には想定していなかった事象や施工リスクが発現する可能性もあります。
そのため発注者と受注者が契約締結を行う時点では想定されていなかった施工上のリスクが発現した場合、事業の遅延や費用についてのトラブル発生を抑制するために、事前調査と不明点、存在リスクの明確化をできる限り行っておくことが必要です。
事前調査の実施の必要性
建設工事は性質上、常に施工上のリスクを伴うことになります。事前に予測することが困難な現場では、不一致が生じた際に設計変更、それに伴う関係機関との協議、追加工事などが必要になる場合もあります。
このような施工上のリスクの発現を抑制して円滑に工事を進めるために、発注者も設計者、調査会社など専門的見解や提案を踏まえた上での事前調査を行うことが必要になるでしょう。
特に地盤調査は建築物の安全性を確保する上で重要ですので、適切に調査を行う必要があります。
また、設計者や受注内定済みの施工者が施工上のリスクとなりうる事象や可能性を把握した場合には、発注者に対して調査の実施を求めることも必要です。
施工上リスクの可能性に注意
建設工事に先立って実施される事前の地盤調査は、発注者もしくは発注者から委託された者から専門の調査会社に委託して実施することが一般的です。
調査会社などの専門的な知見も活用しつつ、発注者は設計者と調整を図りながら必要な調査を行うことが必要となります。
他にも土地利用、地歴情報、土壌汚染、地下埋設物など施工上のリスクになる可能性があるものについて、発注者は調査会社などの見解や提案を受けた上で事前に必要な調査を実施し状況の把握を行なうことが必要です。
受発注者間で適切な負担を
建設工事の施工上のリスクをできる限り回避し、工事施工を円滑に進めていくためには想定される施工上のリスクを地中関連、設計関連、資材関連など種類に分類して考えましょう。
施工上のリスクを負担するために、これまでの契約実務のリスク負担と請負代金の関係が適切かどうかを受発注者間で協議する必要があるでしょう。